
善通寺市の、大麻町。
JRの線路の、すぐそばです。
はじめて来る人は、たいてい一度は通りすぎます。
看板が小さいわけではありません。まわりが、あまりにふつうの道だからです。
洋風の建物が、いきなり出てきます。
えっ、と思ったときには、もう行きすぎています。
壁から、馬車が出ています

入口のあたりに、馬がいます。
正確には、馬と、馬車と、手綱をにぎっている人です。
全速力で走っているのに、壁から出られません。
ずいぶん長いこと、そうしているようでした。
こういうものが、この店には、あちこちにあります。
どれも、どこで手に入れたのか見当がつきません。
天井が高くて、鹿がいます

中に入ると、天井が高いです。
太い梁がとおっていて、そこからランプが下がっています。
壁のほうを見ると、鹿がいます。
角が立派で、こちらを見ているような、見ていないような顔をしています。
ふるいものと、へんなものが、きちんと置かれている。
散らかっているように見えて、たぶん一つも間違った場所にはありません。
一段さがったところに、席があります

奥のほうは、床が一段さがっています。
それだけのことなのに、別の部屋に来たような気になります。
となりのテーブルが、すこし高いところにある。
すると、なぜか、しずかに話してしまいます。

この店は、途中で一度、中のかたちを変えたそうです。
席をふやして、雑貨の売り場をひとつにまとめた。
長くつづけるために、そうしたのだと聞きました。
お店というのは、動かない建物のように見えて、けっこう動いています。
売っているものも、あります

古い引き出しの棚のうえに、小物がならんでいます。
帽子や、服や、アクセサリー。
大きな鏡が立てかけてあって、帽子をかぶった自分が映ります。
似合っているかどうかは、そこで決めることになります。
買うつもりがなくても、わりと長く見てしまいます。
珈琲を飲みに来たはずなのに、気がつくと鏡の前にいる。
そういう順番になる店です。
日替わりのほうを、みんな頼みます

先にサラダとスープとパンが来て、そのあとにメインが来ます。
この日は、さつまいもの入ったグラタンでした。
パンは、おかわりができます。
おなかがすいていたので、さきに食べきってしまって、二つもらいました。
メインが来る前に満腹になりかけるのは、たぶん、こちらの段取りが悪いです。
最後にケーキが出てきます。
チーズケーキにしました。ここまでで、もう夕方みたいな気分になっています。
まわりを見ると、ほとんどの人が日替わりを頼んでいました。
そうなると、日替わりというのは、いちばん変わらないメニューということになります。
おでかけの前に
カフェジジ(cafe jiji)
香川県善通寺市大麻町1304-1(JRの線路沿い、琴参バスの大麻バス停から歩いてすぐ)
駐車場:あり
公式のホームページとInstagramは、探してみたのですが見つけられませんでした。
同じ名前のお店がよそにもあるので、間違えないように気をつけてください。
営業時間と定休日は、調べるところによって書いてあることが違いました。
すこし前におじゃましたときとも変わっています。
おでかけの前に、お電話(0877-63-7682)で確かめるのがいちばん確実だと思います。
大麻町という、地名のこと
大麻町と書いて、おおさちょう、と読みます。
すぐ南に大麻山という山があります。香川でいちばん高い独立峰で、尾根をたどっていくと、こんぴらさんの山につながっています。
ふもとには大麻神社があって、ずいぶん古い神社です。
むかし、このあたりで麻をつくっていたから、この名前になったと伝わっています。
畑の名前が、山の名前になって、町の名前になった。
いまは麻畑を見かけません。
それでも地名だけが、ここに残っています。地名というのは、いちばん長く残る看板かもしれません。
この日の、ほかの途中
おなじ善通寺市なら、もと鉄工所の倉庫にある雑貨屋、zakka カガラカンが生野本町にあります。善通寺というまちそのものの話は、そちらに書きました。
北へ向かうなら、まんのう町の朝の早いパン屋、pancafe junju(ジュンジュ)。まんのう町には山にかこまれた古民家カフェの野良里(のらり)や、昭和の冷蔵庫があるハナあかりもあります。
丸亀のほうへ帰るなら、うつわの楓、木の図書室があるKITOKURAS(キトクラス)、レンガの喫茶グッドネイバーズコーヒーが途中にあります。
壁から出られない馬車が、ずっと走っている家でした。
あれはたぶん、着かないほうがいいのだと思います。
今日の目的地は、途中です。
また途中で会いましょう。
※このページの写真は、すこし前におじゃましたときのものです。
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